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ノットニル・クリエイティブの3つの信念。

Posted by admin at 9:11 日時 2011/06/06

勉強会などでたくさんの方にお会いする機会が増え、なぜフリーランスになったのか、なぜconcrete5に力を入れているのか、尋ねられることが多くなってきました。しかし、これまでうまく説明できていなかったと感じています。やりたいことは本当にたくさんあるのですが、それを3つの信念としてまとめ、自分がいま考えていることをブログに残しておこうと思います。

新しい働き方「コワーキング」が日本を変える

1つめは、働き方に関するものです。

コワーキング(Coworking)とは、フリーランスなどの独立した個人が、仕事ための環境、ワーキングスペースをシェアする新しい働き方です。同じ場所で仕事をしますが、同じプロジェクトに関わっているわけでもなく、同じ組織に雇用されているわけでもなく、あくまで独立した個人が自主的に集まっているという点が従来のワーキングスペースと異なる点です。

Coworking
http://en.wikipedia.org/wiki/Coworking

コワーキングの魅力とは、この自由にあります。才能ある人達と意見交換することから生まれるイノベーション、得意な分野のスキルやノウハウをシェアすることによる相乗効果を期待して集まります。

コワーキングはコミュニティです。コミュニティの価値は参加者が自ら提供するものであり、誰か一人のリーダーがメンバーに与えるものではありません。

コワーキングは自律的な協業です。強制するものではありませんし、契約書にサインするものでもありません。参加したい時に参加し、忙しい時は自宅で集中して作業しても、カフェで一人仕事をしてもかまいません。

マネジメントからエンゲージメントへ」これは今世紀の大きなムーブメントになると信じています。規則による管理から自発的な貢献へ。ダニエル・ピンクは著書『フリーエージェント社会の到来』において、縦の忠誠心から横の忠誠心へ、とも表現しています。

ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | Video on TED.com

コワーキングのために特別に設置されたオフィスをコワーキング・スペースと言います。関西でも神戸「カフーツ」を皮切りに、大阪「JUSO Coworking」京都「小脇」と続々オープンしました。

東京では経堂「Pax Coworking」下北沢「オープンソースCafe」六本木「Jelly Jelly Cafe」恵比寿「コワーキングスペース恵比寿」と次々に新しいコワーキングスペースが生まれ、活況を呈しています。さらに福岡でも開設される予定です。

典型的なコワーキングスペースでは、フリーアドレスな机と椅子があり、電源と無線LAN、コーヒーが用意されています。コワーキングスペースで働く人は、自分のノートブックコンピュータを持ち込んで作業します。このようなノマド・ワーキングなスタイルを実践するには、まだまだ障害が多いのも事実です。私のようなWeb制作を生業にしている人間はこの点で恵まれています。いち早くコワーキングを実践できる立場にあるのだから、情報発信も積極的に行っていく義務があると思っています。だからこそ、固定の顧客もなく仕事が取れる見込みも持っておりませんでしたが、信念ひとつで思い切ってフリーランスの世界に飛び込み、体当たりでコワーキングを実践していくことにしたのです。

コワーキングは一時的なムーブメントに終わらないと思います。なぜなら、コワーキングは個人にとってサステナブルな働き方であり、サステナビリティはまさにこれから議論されていく社会的なテーマでもあるからです。

さらにコワーキングスペースがコミュニティ・ハブとなり、ひいては都市のオルタナティブ・スペースとして、大きな変化の時を迎えている日本が、新しい価値を産み出していく起点の一つになる…という予感もしているのですが、エントリが倍ぐらい長くなるのでこの話は割愛。

誰もが自分のコンテンツを「自由に」発信できるようになることで、世界は変わる

2つめは、情報発信の手段に関するものです。

オープンソースのCMS、concrete5公式Twitterのbioに書かれた一文。
content management is a human right.(コンテンツ管理は人類の権利である)
concrete5の数あるコピーの中でも、最も好きなコピーです。

前項とも関連しますが、中央集権・高度成長の時代から、地方分権・サステナビリティの時代へと世の中がシフトしていくなかで、コワーキングなどの小さなコミュニティやNPOなどからの情報発信がますます重要になっていると感じています。

その時、有償の製品を買って、月額費用を払って、コンテンツを発信すべきでしょうか?経済的に余裕があればそうしてもいいかもしれない。でもそれでは権利は保証されません。情報発信のために、誰もが入手できて、お金をかけずに誰でも使えて、高機能なシステムがあるべきです。オープンソースのCMSが果たすべき役割はそこにある、と思っています。

私はconcrete5WordPress、二つのオープンソースCMSのコミュニティに属して、イベントなどを通して普及に貢献できるような活動を行っています。それは、コンテンツの発信は誰もが持つべき「権利」であり、誰もが自分のコンテンツを「自由に」発信できるようになることで、世界はより良くなる、楽しくなると信じているからです。

もちろん、CMSは魔法のランプではありません。プロとして、企業の情報発信とコミュニケーションの問題解決のための技術力やノウハウを常に学び、クライアントに貢献できるように準備しています。

人の心を動かすウェブを作ることで、世界はハッピーになる

3つめはもっともあいまいで、形のないアイディアです。

TwitterFacebookなどのソーシャルネットワークサービスが、ビジネスの世界でも話題をさらっています。誰もが、マス・コミュニケーションからパーソナルなコミュニケーションに中心がシフトしてきていることを感じていることと思います。

インターネットにアクセスするデバイスも、オフィスやリビングなど不特定多数の人間がいる場所におかれた「パソコン」だけではなく、一人や家族の団らんなど、よりパーソナルな空間で使われるスマートフォンやタブレットなどの新しいデバイスがどんどん普及しています。

そんな中で、Webサイトはいつまでもかしこまった、行儀の良いスタイルでいいでしょうか。誰もが必要な情報にアクセスできるアクセシビリティを確保しつつ、よりパーソナルな空間にメッセージを届ける手段があるのではないかと考えています。

その一環として、学生時代にも学び個人的にも興味があり続けているサウンドデザインや、Webサイトよりパーソナルな空間を意識したメディア形式としての電子書籍(ePub)に注目しています。どちらも、「人の心を動かす」というキーワードに沿ったものです。

また、Web制作における有益なアイディアを伝えシェアするサイトが作れないかと模索しています。「クライアントはWebのことが何も分かっていない」という愚痴に花を咲かせるだけではなく、よりよいWebのための価値観が伝わっていないのであれば伝えればいい。イメージはTEDのようなサイトです。完全に妄想レベルの企画であり、賛同者がいないとできないことですので、具体的にプロジェクトとして進行しているわけでは全くありませんが、いずれ手がけることができればとても嬉しく思います。

以上が、確かにある価値を創造するノットニル・クリエイティブの3つの信念です。

興味を持たれた方のコンタクトを心よりお待ちしております。


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