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concrete5はドラッグ&ドロップできるだけのCMSじゃない。

Posted by admin at 11:42 日時 2016/01/07

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もやっとする記事が何度かFacebookのタイムラインで出てくると、つい我慢できなくなって筆を取る系のエントリです。すいません。

その記事とは『CMSにおける「それ、○○でよくね?」論について』といううぇびんさんの記事です。本文では言葉を選んでおられるのですが、記事に付けられているタグから行間を読むと、WordPressでドラッグ&ドロップで更新できる系のプラグインが話題になると、すぐconcrete5な人たちが湧いてきて「それ、concrete5でよくね?」って言い始めるので、もやもやする、という話です。

なぜかというと、WordPressもMovable Typeも素晴らしいCMSであり、あとほんの少し足りないところ、つまりドラッグ&ドロップでレイアウトを変更できればもう文句ないんだよね、という場合に、わざわざconcrete5に乗り換える必要性はないと。至極もっともです。ぼくもそう思いますので、「それ、concrete5でよくね?」とはいちいち言いません。

が、やはり、ドラッグ&ドロップで更新したいという要件がクライアントから出ているのであれば、concrete5も検討に入れるべきだと思います。なぜか。

それは、concrete5こそ「ドラッグ&ドロップで更新できる」という、言葉にすれば単純な機能をコアに組み込み、直感的にユーザーがレイアウトをいじってしまうからこそ生じる様々な問題に対して、10年以上真剣に取り組んでいるから、なんです。普段の更新でいちいちドラッグ&ドロップ要らないよねとか、モバイルの画面でそんなの無理でしょ、とか、分かってるんですよ我々も。というか、ドラッグ&ドロップのデメリットなんてもっとたくさん知ってますよ。どれだけたくさんのバグをつぶしてきたと思ってるんですか。そういう苦労を知ってるからこそ、「プラグインでさくっとなんとかしよう」と思っている人には、「それ、本当にドラッグできれば解決できるレベルの軽い要件なの?」というところを、落ち着いて考えてもらいたいなとは思います。

仕事に戻らないといけないので、もう1点だけ、ドラッグ&ドロップに関連して、concrete5が本当に素晴らしいと思う点について。

ぼくがconcrete5で最も素晴らしいと思っているのはコンテンツのデータ構造です。

コンテンツの最小単位は「ブロック」と呼ばれます。コンテンツの最小単位とは、文字どおりの意味であり、Webサイトという世界とは関係ありません。コンテンツの種類は「記事」であったり「ファイル」であったり「地図(位置情報)」であったりします。そして、それぞれに専用の最適なデータベース構造が定義されており、それぞれが独立してバージョン管理されています

ブロックは「コレクション」として、1つの意味あるまとまりとしてグルーピングされ、コレクションにはタイトルが付けられます。コレクションのサブセットとして「ページ」という概念があり、ここで初めてWebサイトと関連がある概念が出てきます。

これらは非常に重要な考え方です。なぜなら、CMSは今後ブラウザで表示されるWebページを管理するだけのものではなくなるからです。

"In the future, where all front-ends are equally important, we must design starting with content."
- THE FUTURE OF THE CMS

バージョン7現在、concrete5の「コレクション」のサブセットは「ページ」しかありませんが、今後のバージョンアップではいよいよ拡張の動きもあります。

また、もしconcrete5のコミュニティの力が及ばずCMSの未来にうまく移行できなかったとしても、このデータ構造の考え方自体が正しいことは確信しています。おそらく現時点で最小のデバイスはスマートウォッチで、ブロック1つ分の表示領域しかないでしょう。しかし、どのようなリクエストに対してどのブロックを返すかというコレクションの考え方を拡張すれば対応可能です。

比較して、ブログのデータベース構造に、ショートコードなどのブログ独自の機能を駆使して、無理やりレイアウトを入れてしまう設計のプラグインがあったとしましょう。そのデータは、未来のCMSで使えるデータでしょうか?

僕はconcrete5はCMSとしてあるべきデータ構造=ブロックというコンテンツの最小単位を設計し、その編集方法として結果的に、ドラッグ&ドロップで配置できるようになった、というCMSだと考えています。実際に、ブロックをドラッグ&ドロップでページに配置できるようになったのは、concrete5の歴史の中でも、実は最近の話ですしね。

もちろんその他にもconcrete5が選ばれる理由はありますので、公式サイトの「concrete5が選ばれる理由」も合わせてお読みいただければと。

こちらからは以上です。


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